児童精神科

登校渋りの長男がWISC検査を受けてきた!WISC検査とは?結果はどうなった?

登校渋りの長男が1か月前に児童精神科でWISC検査を受け、結果が出て説明を受けてきました。

結果としては、言語理解(VCI)の項目が他の項目に比べて16点の差が出ていて凸凹があると言われました。

この記事では「検査とはどんな検査なのか」「結果から長男はどうすればいいのか」を私のアウトプットみたいになりますが、紹介していきます。

登校渋りの長男、児童精神科へ3回目の受診。担任と2学期に向けて話し合いこの記事では、登校渋りの小学2年生の長男が3回目の児童精神科への受診した内容と2学期に向けて担任の先生との話し合いの内容を紹介しています。具体的な取り組み内容も紹介しているので、ぜひ参考にしてもらえると嬉しいです。...

WISC検査とは?

WISCとは、子供の得意・不得意など発達のバランスを知るための検査の一つになります。例えば「発達がゆっくりな気がする」「得意なことと苦手なことの差が激しい」など子供の発達が気になる場合に検査を受ける人が多いです。

WISC検査は、ウェクスラー式知能検査の一つで70年以上の歴史ある信頼性の高い検査になり、世界20ヶ国以上で使用されていて日本でも有名な知能検査の一つになります。

ウェクスラー式知能検査には、年齢に応じた検査が3種類あります。

  • 幼児用(WPPSI):2歳6ヶ月~7歳3ヶ月
  • 児童用(WISC): 5歳0ヶ月~16歳11ヶ月
  • 成人用(WAIS):16歳0ヶ月~90歳11ヶ月
長男は7歳なのでWISC検査を受けました。

検査内容は?

検査は、約60分~90分の時間で公認心理士や臨床心理士などの専門家が1対1で行われます。長男は、公認心理士の先生と一緒に休憩をしながら60分ぐらいで終わりました。

「言語理解指標(VCI)」「知的推理指標(PRI)」「ワーキングメモリ指標(WMI)」「処理速度指標(PSI)」の4つのテストから構成されていて、「全検査IQ」を合わせて5つの合成得点を知ることができます。

そして合成得点の平均を100として5つの合成得点の差が大きければ大きいほど、生きづらさが大きくなると言われています。またこの数値が70を下回ると知的障害がある可能性があります。

数値化することによって、子供にとって良い支援の手がかりを得ることを目的として行っている検査と言えます。

では、5つの合成得点で何がわかるのか紹介していきます。

言語理解(VCI)

言葉を使って推理したり説明するなど推理・思考力についての指標になります。つまり相手の言葉の内容を理解したり、言葉の思いを汲み取る力ともいえます。

検査は、「類似」「理解」「単語」の3つの基本下位検査と場合によって「知識」「語の推理」の補助下位検査を用いる場合もあります。

知覚推理(PRI)

作業手順や段取りを考えられるか、また目で見た情報を理解して考える力や目で見た情報に合わせて体を動かす力についての指標になります。

検査は、「積木模様」「絵の概念」「行列推理」の3つの基本下位検査と場合によって「絵の完成」の補助下位検査を用いる場合もあります。

ワーキングメモリー(WMI)

情報を一時的に記憶して、処理する能力についての指標になります。例えば板書のスピードだったり、集中力や注意力に大きく関係していて学習への影響が大きいです。

検査は、「数章」「語音整列」の2つの基本下位検査と場合によって「算数」の補助下位検査を用いる場合もあります。

処理速度(PSI)

目で得た情報を処理する速さについての指標です。例えばやり方とゴールが明確な作業課題を正確に遂行する能力といえます。マイペースで切り替えが苦手な場合は、この指標が低い可能性があります。

検査は、「符号」「記号探し」の2つの基本下位検査と場合によって「絵の抹消」の補助下位検査を用いる場合もあります。

全検査IQ(FSIQ)

全体の認知能力についての指標です。それぞれの項目の補助検査(絵の抹消・算数・絵の完成・知識・語の推理)を除く10種類の基本検査の合計から算出されます。

WISC検査の結果の見方

WISC検査の結果は、我が家の場合は1ヶ月ぐらいで出ました。そして受信した医療機関で結果として全検査IQと4つの指標について「合成得点」「信頼区分」「記述分類」の3つのデータが表示されました。

この他には、「同年代の子供100人の内、下から数えて何番目か」を数値化したパーセンタイル順位があるんですが、貰った結果には記載がなかったので省略させてもらいます。

合成得点

検査の評価点の平均を100としたときの得点のことです。合成得点の上限は155点になります。

記述分類

記述分類とは、合成得点の点数を元に「非常に低い」から「非常に高い」の7段階に分類され、結果を言葉に表したものです。

合成得点 分類
130以上 非常に高い
120~129 高い
110~119 平均の上
90~109 平均
80~89 平均の下
70~79 低い(境界線)
69以下 非常に低い

信頼区分

検査で出た数値の信頼度と検査をしても結果の範囲を推定する数値幅になります。例えば、言語理解(VCI)の信頼区分が88~103で90%の場合は、

言語理解(VCI)の検査を100回すると、90回は信頼区分88~103の得点の結果が出るが、10回は信頼区分の得点から外れるかもしれない。を表しています。

長男のWISC検査の結果

合成得点 信頼区間(90%)
全検査IQ(FSIQ) 114 108~119
言語理解(VCI) 95 88~103
知覚推理(PRI) 111 103~117
ワーキングメモリー(WMI) 112 104~118
処理速度(PSI) 129 117~133

言語理解だけが90台で他の検査に比べて16点の差があるので、凹んでいる部分になります。各検査について先生からの所見の記載があったので紹介します。

全検査IQ(FSIQ)

全検査IQでは114と平均~平均より高い知能を持っていることがわかりました。ただ知覚推理とワーキングメモリー以外の項目で差が認められたため更なる検討が必要です。

つまり言語理解が低いから日常生活や生きづらさがありますよ。ってことです。

言語理解(VCI)

言語理解は、95と平均の下~平均的な範囲にある能力だとわかりました。長男にとって一番苦手な能力であると言えます。言葉の意味を説明するように求められると「えーっと…」と時間がかかったり、説明が難しいと諦める様子がありました。

相手の話が理解できなかったり、話している内容が頭に入ってこない、自分の気持ちを言葉に表現できないなどが挙げられます。

知覚推理(PRI)

知覚推理は、110と平均~平均より高い範囲の能力ということが分かりました。言語情報の理解よりも非言語的な資格情報の処理の方が得意であると言えます。

空間認知能力があり、パズルなどが得意ということです。

長男は4歳の時に画像の300ピースのパズルを1人で完成させては壊しを何度も繰り返すほどお気に入りでした。

 

ワーキングメモリー(WMI)

ワーキングメモリーは、112と平均~平均より高い能力を持っていることが分かりました。音声情報を一定時間頭の中に留め、その情報を元に作業する能力は、年齢相応~それ以上持っていることが分かります。

集中力や自己コントロール能力が高いのでコツコツ取り組むことができ、記憶力も高い傾向にあるということです。

処理速度(PSI)

処理速度は、129と平均より高い~非常に高い能力を持っていることが分かりました。同年代の子供100人の内、上から3番目に入るぐらいの能力です。単純な視覚情報を正確に捉え、やり方とゴールが明確な作業課題を素早く正確に遂行することに強い能力があると言えます。

黒板を写すのが得意だったり、説明書付きの工作など得意ということになります。

長男は、LaQやLEGOなど作り方を見ながら3~4歳ぐらいからサクサク作れたり、最近ではマインクラフトの攻略本を見てレッドストーン回路を使った建築や装置を作るのが大好きです。

このシリーズは4歳の時に作っていました。

WISC検査の結果からわかった長男の特性

長男には得意と苦手とする能力があるのが分かりました。長男にとって視覚的な情報を捉えたり、それらの情報をもとに作業する能力は得意であるといえます。一方で言語情報をもとに推理する能力は苦手な部分であり、集団活動での一斉指示や口頭指示に対する影響を及ぼします。

また注意・集中力について偏りがあり、1対1の静かな空間では言葉の理解は可能ですが周囲からの刺激があった場合、本来の能力が発揮できず指示が聞けなかったり集団活動から逸れた行動をとってしまう可能性もあります。

長男の特性から考えられる支援の手立てとしては、

  1. 目からの刺激が気になり、やらなくてはいけない行動がとれない可能性があるため、集中して取り組む場面では、長男が気になる刺激を減らすと良い。
  2. 言葉だけの情報では理解に時間がかかったり、誤解してしまう可能性があるため、言葉だけではなくイラストや図を提示すると理解しやすくなる。
  3. 今から何をするのかゴールを視覚的に明示しておくと集中して取り組みやすい。
  4. 口頭指示を行う際は、注意を向けてから指示をすると良い。

結果を聞くと納得できる部分が多くありました。

先日、虫のアリを想像して粘土で作るイベントがありました。口頭指示のみでどんなアリを作ればいいのかゴールが見えない状態だったので、集中力を欠き不安そうに私を見たり、席を立ちウロウロしていました。

同じ日に今度はカモメの紙飛行機を作るイベントに参加しました。イベントでは、完成したカモメの飛行機と作り方が書かれた紙があったためか「一人でできるから大丈夫」とアリを粘土で作るイベントとは別人のような長男。

参加する人数も多いため長男と次男の席が離れてしまい、長男は一人で作成することに。数分後「できたよー!」と完成したカモメの飛行機を手に私たちの所に来た長男は、完成できて嬉しそうな顔をしていました。

長男に「アリのイベント」と「カモメの紙飛行機のイベント」では、そんなに違うの?と聞いたら

アリの時は不安で不安でしょうがなかったけど、紙飛行機を作るやつは好きだったから一人でも大丈夫だった!

得意なものと苦手なものでは、こんなに違うものかと実感した日でした。

検査結果から今後どうしていくのか

検査結果から長男の得意なことや苦手なことがわかったけど、この結果が登校渋りと関係があるのか、また登校渋りの原因が他にもあるのかが今後主治医の先生との診察で話をしながら一人で登校できるようにしていく予定です。

言語理解が平均の得点になっていますが、1対1の静かな空間でのテストのため公認心理士さんからは

公認心理士
公認心理士
学校では視覚や聴覚からの刺激があるので、さらに得点は低くなる可能性が高いです

つまり学校では、さらに生きずらさを感じている長男。もしかしたら「学校が怖い」はこの部分が原因かもしれません。

子供たちを色々な体験イベントに参加させることが多い我が家ですが、検査結果のお陰で長男も私もストレスなくイベントを楽しむことができそうです。ゴールが見えない口頭説明のみのイベントは避けて、ゴールの見える作り方や画像で説明しているイベントを選ぶようにしていきます。

長男が自分の得意なことと不得意なことを知り、周囲に順応していく方法を身に付けていけたらいいなって考えてます。

誰でも検査できるの?検査を受けられる場所は?

WISC検査を受けられる場所は、以下の施設になります。

  • 児童精神科、小児、思春期外来などの病院
  • カウンセリングルームや心理相談室
  • 市町村の教育支援センター

またWISC検査は「受けたい」と言って気軽に受けられる検査ではありません。上記の施設でWISC検査の必要性があると判断した場合のみ検査が行われるので注意が必要です。

まとめ

「なんでうちの子は〇〇が苦手なの?」「他の子に比べて育てにくい」「どうしたらいいのかわからない」などお子さんに関して悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。私も長男の登校渋りがそうです。

もし育てにくさを感じたらWISC検査を受けられる施設に相談にいってみてはいかがでしょうか。お子さんに関して悩んでいる人の参考になれば幸いです。